72°

書いたものなど

2019-01-22から1日間の記事一覧

来たりなば

いつもきみのことを思ったし笑いながらもほんとうはずいぶん待った うす青に静かに灰を溶いた頃にもどるような冬は遠からじ 出藍のことだったと思われる「空より出でて空より寒き」 何千回も出会うようで一度だって知れない きみは迫るように見る つめたい香…

奈良吟/平成30年度

あれは誰かすがった痕 折れ指のささいな乱暴を覚えている ほんとうは水掻きなどない(だって人だ)(ふくよかな甲がさいごの影だ) これは祈りなどではない、だからどうか嘘をつくならもっと上手に 帳降りて目も開けられなくなってから目を合わせたらそれきりで…

四国吟/平成30年度

見えないがおそらくはそこにあるだろうと信じられる海のような夜 あの崖が最後で、その先は誰でさえわからないのだと思いたかった 逆巻くふりをしていた 手ずからのニヨドブルーにすがる夢だった きっとそうではないのだと知りながらさいはての川を追いかけ…

歌を歌うよう

いずれ遠く忘れてしまうの だから黒幕の裏側で笑うのです この真理を読み上げるためにあなたが逸らしたものを憶えています 門は閉じて 冴えざえと夢浚えば潮の満ちいる日も憶えている いつかいつか起源のこと、僕のこと、黙示録のこと教えておくれ きみに語…