四国吟/平成30年度
見えないがおそらくはそこにあるだろうと信じられる海のような夜
あの崖が最後で、その先は誰でさえわからないのだと思いたかった
逆巻くふりをしていた 手ずからのニヨドブルーにすがる夢だった
きっとそうではないのだと知りながらさいはての川を追いかけてきた
「四万十が晩夏の歌を歌いながら流れて」(わたしの輪郭も失せて)
あなたたちの目がほんとうに赤いことを知る、わたしの記憶に泳ぐ
白たえの波打ち際の内側の嵐を思えば夏ならなくに
まなうらに岬の見えるような気になる なおさらに思い出せずとも