72°

書いたものなど

来たりなば

いつもきみのことを思ったし笑いながらもほんとうはずいぶん待った

 

うす青に静かに灰を溶いた頃にもどるような冬は遠からじ

 

出藍のことだったと思われる「空より出でて空より寒き」

 

何千回も出会うようで一度だって知れない きみは迫るように見る

 

つめたい香りが高くて哀しかった 思い返しても誰もいなかった

 

傘を開くかのように来るがその実は雨のように去っていくのだった

 

ゆくときに風ひどくて笑むことも傲慢だからわからないフリだ

 

孤独なのできみにことさら話すべきもないが実に下らない季節だった